Kaitoy’s blog

中の人は学生。主に政治ネタ、時事ネタ、歴史ネタなどジャンルを問わず自由に書いてます。政治的立場は保守自由主義、大衆主義、反共主義、反知性主義。最近は非マルキストの立場から共産主義を研究しています。皇室をいただく日本の伝統と文化を守りたい。日々が人格陶冶。

警鐘:共産主義への無知

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いよいよ2020年も師走。今年は中国発の新型コロナウイルスが世界を襲い、人類は未曾有の危機に晒された。そしてコロナ禍を機に、米中の対立がさらに激化し、中国の脅威が世界中に改めて認識された年でもあった。中国のような全体主義国家に立ち向かうには、先んじて私たち現代人がしっかりと共産主義について知ることから始めなければならない。しかし、依然として現代人の共産主義に対する認識はいささか甘いようにも感じられる。

共産主義の罪

「皆が平等」。そんなユートピア世界を目指す共産主義。だが現実はユートピアではなく、ディストピア。理想郷を築いた共産主義政権はいまだに存在しない。それどころか、共産主義政権による犠牲者は1億人にのぼる。ロシア革命によって政権を握ったレーニン率いるボリシェヴィキは、1922年にソ連という世界初の社会主義共産主義国家を樹立。ソ連コミンテルン(第三インターナショナル)という国際共産主義運動の指導組織を設立し、世界に「革命」の輸出を試みた。この対外工作によって世界中に共産党が創設され、東欧や東アジア地域などで共産主義国家が次々と誕生した。日本共産党も、もともとは「コミンテルン日本支部」として出発している。

f:id:kaitoy_conservative:20201210143254j:plain(ヨシフ・スターリン)

ソ連では、政治的・イデオロギー的に反対する者、あるいは体制に服従しない者は「反革命分子」「社会的異分子」「階級の敵」とみなされ、容赦なく皆殺しにされた。この思想は、その後に誕生した共産主義国家でも脈々と受け継がれた。フランスの歴史研究家ステファヌ・クルトワ氏によると、ソ連スターリンは2000万人を殺害したとされるが、この数は情報源によっては6000万人にまで変わるという。

f:id:kaitoy_conservative:20201210143409j:plain(毛沢東)

中国では、毛沢東が6000~8000万人を殺したとされる。これは、国民党との内戦、土地改革で殺害された地主、大躍進政策による失政がまねいた大飢饉、「知識階級」を一掃した文化大革命などにおける総計である。毛沢東死後の中国は懲りることはなく、1989年には天安門広場民主化を求めて集結していたデモ隊を戦車で無惨に蹂躙した。現在でもその中国は、国内の少数民族への弾圧をさらに強化し、パンデミックを意図的に世界中にばら撒くことで多くの命を奪っている。

f:id:kaitoy_conservative:20201210143432j:plain(ポル・ポト)

カンボジアでは、1975年、元フランス共産党メンバーで毛沢東主義を信奉するポル・ポト(本名サロット・サル)が共産主義革命を起こした。政権の座についたポルポトは、全面的な共産化政策を展開した。その政策は、農業主体の極端な平等社会を目指し、通貨を廃止するなど原始共産制の実現を強行しようとするものだった。ポルポトクメール・ルージュを動員するなどして、知識階級や反対派を容赦なく虐殺。1975~1979年までの4年間、政権の座についたポルポトは、国民の3分の1(100万~200万人)を虐殺したとされる。

これらの共産主義国家において、最大の武器であり味方となったのは「飢饉」であった。体制は飢餓という武器を「計画的に」使用することで、手持ちの食糧の在庫を全て管理し、極めて巧妙な配分方法によって、ある者には「褒美」として、他の者には「懲罰」として再配分した。そうすることで、体制に不忠実な者を打ち負かしたのである。ソ連では1932~1933年に、人為的な飢饉によって600万人がウクライナで皆殺しにされた。中国では毛沢東大躍進政策が失敗し、3000~4000万人が死亡した。カンボジアでは、あらゆる機器が「資本主義の産物」とみなされ、農業や重労働を手作業で行うよう強いられたため、大飢饉が起きた。 共産主義が犯した犯罪は、「人類に対する罪」だ。この思想が持つ嗜虐性は、筆舌に尽くしがたい。

冷戦を知らない世代

f:id:kaitoy_conservative:20201211141008j:plain (画像from https://socialistproject.ca/2019/06/why-is-there-now-socialism-in-the-united-states/)

1991年12月、ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊した。人類は共産主義に打ち勝ち、世界中が歓喜の渦に包まれた。ソ連支配下にあった東欧諸国はその圧政から解放され、自由、民主主義、法の支配といった人類の普遍的価値観が世界中に共有された。同時に、資本主義に絶対的な行き詰まりがないことも世界に露呈した。そのため、政治・経済理論で負けた共産主義のシンパやマルクス主義者は、マルクス主義の実現を経済分野で諦めた。しかし、彼らが次なる破壊対象として目をつけたのが、「文化」であった。彼らは自らが「マルクス主義者」であることを隠し、「リベラル」と名乗ることで偽装した。今や米国で「リベラル」とは、「社会主義者」「共産主義者」「マルクス主義者」「急進左派」を意味する用語として使われる。 冷戦後、そんな米国社会の油断の隙を突くように、マルクス主義者たちは教育やメディアに浸透することで、欧米社会の伝統や文化の破壊を試みた。したがって、米国における教育の左傾化は著しい。高等教育では、無神論、物質主義が徹底的に叩き込まれ、学生たちが社会主義共産主義イデオロギーを崇拝し、フェミニズムや過度な環境主義の影響を受けている。それを証拠に、共産主義の犠牲者記念財団が米国で行った調査(16歳以上のアメリカ人2100人を対象に)では、70%もの若者が「社会主義者に投票したい」と回答した。とくに、ミレニアル世代(1980年代~2000年代までに生まれた世代)やZ世代(1995年生まれ以降の世代)の間では社会主義共産主義を安易に支持する人が多い。社会主義者で有名なバーニー・サンダース氏の熱狂的な支持者もこの両世代に多い。米国史上最年少の女性下院議員である民主党のアレクサンダー・オカシオコルテス氏(AOC)は典型的なミレニアル世代であり、彼女の政策や主張は社会主義そのものである。また、今年の5月からBLM(Black Lives Matter)やAntifa(反ファシズムを謳う極左暴力集団)が米国各地で暴動を起こしているが、暴徒には街頭闘争に非常に熱心な若者が圧倒的に多い。BLMに関しては、建前上は人種差別反対を掲げるが、同団体の創設者自らが反資本主義、警察の解体、刑務所の撤廃、核家族の否定などを標榜するマルクス主義系の団体である。この運動の参加者や支持者にはやはり、ミレニアル世代やZ世代が多い。

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米国の若者が社会主義共産主義に賛意を示す理由はいくつかあげられる。まず、2008年のリーマンショック後の長期停滞が米国の格差問題を深刻化させた。若年層は資本主義の競争社会で勝ち抜くことに対して大きな不安を抱えており、社会主義共産主義の「理想」にシンパシーを感じやすい。二つ目の理由としては、学生ローンがあげられる。米国では私立大学の学費が1年間で約3万6900ドル(約410万円)とされ、州立大学でも高額だ。このため、多くの若者が学生ローンで学費を賄っているが、学費が高すぎるあまりにローン完済に40代までかかるという。そこでバーニー・サンダース氏は、4500万人分の学生ローンを帳消しにし、大学無償化を公約として掲げていた。しかもその財源は、富裕層に課税することで10年間で2.2兆ドルを賄うという。若年層の多くが学生ローンの返済に苦しんでいることから、こうした社会主義的な政策でも盲目的に彼らは支持する。 急速に社会主義共産主義へのシンパシーが米国社会で急増したのは、前述した経済格差や学費高騰もあるが、最大の原因は「共産主義がもたらした害悪への無知」だろう。サンダース氏などを支持するミレニアル世代やZ世代は冷戦を知らない。東西冷戦終結後に生まれた彼らには、社会主義共産主義への警戒感が薄く、共産主義政権が犯した罪について十分に学ぶ機会が与えられていない。なぜ彼らがそれほど社会主義共産主義に無知なのか。それは米国の教育界がマルクス主義者の巣窟と化したからである。当然、彼らが理想とするソ連や中国、北朝鮮カンボジアなどの共産国が犯した数々の悪事は教えられない。その代わりに学生たちが学ばされるのは、フェミニズムジェンダースタディーズ、カルチュラル・スタディーズなど、マルクス主義的要素がぎっしり詰め込まれた学問である。これらの教科は一見すると共産主義イデオロギーとは無縁のように思える。しかし実態は、階級闘争や伝統文化に対する批判であり、「再教育」に過ぎない。言葉や造語を狡猾に駆使し、共産主義思想と理解できないようにあえて「無色透明化」することで人々を騙す。結果、赤い思想が潜在意識下に刷り込まれていくのだ。米国の大学では、4年間はリベラルアーツ(教養学部)が中心で、本格的な専門教育は大学院となるが、いまやこのリベラルアーツの部分は、マルクス主義を信奉、標榜する左翼教授たちに支配されているような状況だ。このような左傾化した学校教育で「再教育」された若者が、社会主義共産主義に警戒がないのも頷ける。

・束の間の安堵

f:id:kaitoy_conservative:20201211145006j:plain (ベルリンの壁崩壊)

ソ連が崩壊したことで、世界から「廃れた」とみなされた社会主義共産主義。それは束の間の安堵に過ぎなかった。今度は中国がソ連に代わって台頭し、力によって現行秩序を破壊し、人類の普遍的価値観までも脅かしている。そして、世界各地のマルクス主義者はその思想を放棄するばかりか、自らを「リベラル」と名乗ることで共産主義者であることをひた隠しにし、世界中で教育界やマスコミに浸透した。教育の現場では共産主義の犯罪はきちんと教えられることはなく、マスコミも中共によって行われてきた悪行を報道しない。しかし少なくとも、米中の冷戦は共産主義の脅威を再び私たちに啓蒙するには良い機会だと思う。

2020年は、中国、BLM、Antifaなど、共産主義者による組織的犯罪行為が表面化した年でもあった。現在進行形で新型コロナウイルスによって命を奪われている人々も、まぎれもなく共産主義の犠牲者であることを忘れてはいけない。そして、その共産主義に勇猛果敢に立ち向かってきたのが、トランプ大統領なのだ。

最後にレーガン元大統領の言葉を引用したい。

"How do you tell a commminist? Well, it's someone who reads Marx and Lenin. And how do you tell an anti-communist? It's someone who understands Marx and Lenin."